新春プログレ大特集オフライン

正月初っ端(1/4)の晩方ロック「新春プログレ大特集」をお送りしましたが、言葉足らずなどもあったのでここで補足的に綴っておきます。


プログレの定義とその功績

プログレとは「型破り」「掟破り」なロックである...などと簡単に済ましてしまいましたが、プログレをよく知らないリスナーもいるだろうし、難解で曖昧な...ドン引きされそうな偏見をいきなり植え付けるのはやはりよろしくないと思ったわけで、確実に言える唯一定義で済ました次第です。

で、更に言いたいのは、その「掟破りな考え方」は決してアウトロー的なものでなく、新思想を促す重要なトリガーとなるものであって、それが音楽を今なお幅広く発展させ続けているということです。すなわち新ジャンル創造の根源にある基本概念こそがプログレ志向というか、これに準じた思想なんですよね。

ただし、単に音楽ジャンルの細分化を促すものではないということは正しくご理解を。無闇に小ジャンルを乱立させる馬鹿げた風潮も昨今見受けられますが、独特な個性が定義付けでき、その同様の属性楽曲が相当数揃ってこそジャンルとして意味を成すものなので、混乱を招くばかりの狭い括りの小ジャンル分類などすべきではありません。そんなものは無視しましょう。


プログレの始まり

放送内ではついつい誤解されそうな言い方をしてしまいましたが、キング・クリムゾンの件で彼らのデビュー作『クリムゾンキングの宮殿』(69年)がプログレ”黄金時代の幕開け”を告げる作品だったわけで、最初のプログレ作品ということでは決してありませんので悪しからず。

本当は触れようと思っていたのですが、明確な始まりというのは見出せないもののすでにその数年前からプログレ志向のムーブメントは動き出しており、67年頃にはビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』やムーディー・ブルースの『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』などアルバムとしてコンセプトを持たせた先駆的作品が登場しています。特に後者に至っては管弦楽との融合を図っている点でもまさにプログレッシヴです。


サントラは身近にあるプログレ

上で述べた通りプログレらしい要素の一つとして「コンセプトに基づいたアルバム構成」がありますが、これはTVや映画等の映像作品に関連した楽曲作品群であるサウンドトラックの概念とも類似しています。

違いとしては、サントラはいろんなシーン毎に作られた細々とした小曲の集合体という構成が多いですが、それらを小分けにせずストーリーに乗せて楽曲を組んだもので数曲にまとめたアルバムを作ればそれこそまさにプログレです。昭和期のSFアニメ(宇宙戦艦ヤマト銀河鉄道999など)でよく見られた組曲アルバムはこの最たる例ですね。


古典楽曲×ロック=プログレ

冒頭のBGMは正月の定番曲「春の海」をロック風味で醸してみました。これがなかなか複雑に展開するちょっとした大作楽曲なのですが、晩方ロックテイストのファンキーなイメージから入りつつも、刻々と多彩に変化していくシーンに合わせて抑揚感のあるロックの色合い変化が生まれ、思惑通りのプログレ作品に仕上がりました。

実際当時のプログレバンドのいくつかも、古典音楽のアレンジバージョンを格好良く披露していたものですが、中でもやはりEL&Pの『展覧会の絵』はとにかく必聴の名盤なので、聴いたことのない方は是非一度聴いてみてください。



プログレは難しい?

長尺で複雑な展開が覚えにくいから難しい...と言われれば返す言葉もありませんが、では音楽性をとってみてもやはり難しいのか?といえば決してそんなことはないと思います。

プログレ楽曲の多くはロックスタイルですが、古典的なクラシック音楽と同様の変化に富んだ展開から生み出される表現性の豊かさをも備えています。とは言えこのご時世、歌が主役のシンプルで覚えやすいポップスに馴染むがあまり、歌や歌詞にばかりに依存性が高まる一方で音楽表現への関心が薄れていることは間違いなく、こうした音楽環境に浸っている多くの人々にとってはやはり敷居の高さが感じられてしまうのも当然でしょう。

しかし実はこれ、聴き方というちょっとしたスタンスの問題だったりします。少し視野を広げ、視点を変えれば違った音楽の楽しみ方、音楽の奥深さに容易に気づけるはずなので、まず手始めに歌詞を気にせず演奏に集中して聴いてみて、ちょっとだけ想像を膨らませてみてください。すると歌詞の世界観とは違った情景が見えてきたり、言葉では表せないファンタジーなイメージが浮かんでくるかもしれません。それが音楽の持つ本当の表現性であり、それは感じるままに自由に想像して良いものなんです。是非とも言葉の縛りから解放されてみて下さい。

このことに気づければプログレも優しく聴こえてくるかも?

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